ニュースに名前が出るかどうか
国選弁護人にまず言われたのは「あなたのことが記事になっています」でした。
アクリル板越しに見せられたのは地方新聞でした。そこには私が犯した罪と、警察で供述した内容、そして概ね罪を認めていることが書かれていました。
しかし、名前は出ておらず「20代会社員」としか出ていませんでした。
ニュースで世間に名前が知られる、知られない。ここが、逮捕された際にまず大きく分かれる分岐点だと思います。
どうして今回名前が出なかったのか、はっきりとした理由は分かりません。初犯だからなのか、他に大きな事件があったのか。色々と理由は考えられますが、ひとつこれかな?と思うのは、警察に向かう車の中で僕が精神疾患を患っていることを話したことです。
精神疾患を患っている人は、判決がどうなるか定かではないので警察も慎重になり名前を公表しないということを聞いたことがあります。
僕と同じような犯罪を犯して名前が出ている人はたくさんいます。そんな中、今回名前が公表されなかったのは、どうなんでしょう。僕は何か言える立場にはありません。
名前が出ている出ていないの差は、社会復帰をするにあたってかなりの差があります。このご時世、名前を検索すればすぐに色々と情報が出てきます。
就職活動でも名前は検索されますし、人によっては友達の名前を検索する人もいるでしょう。ニュース記事に名前が出ると、半永久的にどこかしらにその記事は残ります。
実際に留置場の中でも、ニュースに名前が出ているか出ていないかの話題は、かなりありました。名前が出ていて人生に落胆している人もいました。
留置場を出た後に通っていた性犯罪者向けのグループ認知行動療法の場でもその話題はかなりあがりました。それぐらいみんな気にしています。
ここに関して、僕は何も意見する立場にないので、今の現実を受け入れて生きていくしかありません。